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平成22年12月1日号

第360号

 今年も年末まで残り僅かになり心なしか気ぜわしくなってきました。2008年のリーマンショックから日米欧の経済は低迷のまま、いまだ回復の兆しなく、金融の更なる緩和策の効果も見えぬまま、2011年を迎えます。中国は政権の舵取り宜しきを得て、着実に成長し、世界経済におおきな影響力を持つ国となり、政治、外交においてもその力は世界が認めざるを得ない巨大なものになっています。北朝鮮の問題も実態が中国の一地方省のような状態であるため、日韓と北朝鮮の対話による解決の目はなく、中国とアメリカの2国の話し合いで収まっていくものと思われます。
 わが国の政権は昨年自民から民主党に変わったことにより自民党長期政権の垢落としと、沈滞脱却の舵取りを国民が期待しているにもかかわらず、いまだに何も見えてこない有様で、野党に落ちた自民党も揚げ足取りばかり、次元の低い茶番劇を繰り返している。この国は一体どうなっていくのだろうか。このままじわじわと沈んでいくのか。真剣に考え行動する竜馬のごとき若者たちが立ち上がり、国民が希望と勇気を持つことができるような日が来るのだろうか。自民党、民主党の2大政党が切磋琢磨して政権運営をする理想は期待しにくく、むしろそれより両党の志を同じくする同志が立ち上がることに期待を寄せたいと閉塞感漂う国会運営を見ていて思う。
 2011年はえとが卯年である。。卯には春になって地中から芽生えて来る双葉の字義があり、新しい芽生え、そのようなエネルギーが政局に胎動し始めることになるかもしれないと連想を呼ぶ。
 非鉄金属はなべて年初より上昇し、ことに銅は世界全体の需給がLMEの在庫量の減少傾向に反映されているようにタイトであり、金融緩和による投機資金の参入もあって、堅調に推移した。来年の見通しについては、今のような堅調が続くという向きが多いが、中国経済の動向がどのようになるかで大きく左右されると考えられる。銅に関連するビジネスに携わる業界が最も恐れることは銅相場の激しい価格の動きにより、多くのユーザーが素材を銅から他の資材に変えることである。環境整備に厳しい規制が課せられる時代になり、非鉄金属の生産コストも、年々上昇してきているが、現在の価格水準はかなり高位にあり、下げ余地は十分にあると言えよう。
 最後になりましたが、この1年皆様より賜りましたご愛顧に心より感謝申し上げます。皆様がご健勝にて佳き新年をお迎えくださいますよう心からお祈り申し上げ、本年掉尾のご挨拶に代えさせていただきます。

平成22年11月1日号

第359号

 奄美大島が豪雨による大きな災害を蒙り、復旧もこれからというところにさらに台風が襲う。住民にとってはやり切れぬ思いであろう。本来なら小春日和の好天が続く頃なのだが、今年ははや冬の到来を知らせる木枯らしが吹いたり、季節の移ろいも乱調気味である。
 景気は低調のまま、好転の兆しもない。先進国は金融をいっそう緩和し、為替を切り下げ、中国には切り上げを求め、貿易の不均衡を改善し、景気の改善に?げたいと目論んでいるが、G20でも新興国からは過度の金融緩和は先進国からの資本流入と、それがもたらす国内のインフレやバブルの恐れがあると反発されている。日本も円高対策を打ち、積極的な金融緩和に舵を切ったが、正常な経済の状態なら、株式市場は即反応上昇するのだが、今はまったく反応していない。他の国々も同様で僅か国際的な資源商品が底堅い動きを見せているが、中央銀行の超緩和の姿勢を受けて積極的な投資をする動きは見えてこない。将来像が見えてこないのが、今の先進国共通の悩みであり、巨大な資産バブルがはじけ、民間がバランスシート修復に走る現状では金融緩和の効果は見えてこない。
 チリの産銅鉱山の落盤事故はさまざまな好条件にも恵まれ全員が無事救助され目出度い大団円になり本当に良かった。露天掘りの国営の鉱山のスケールの大きさは知っていたが、中小企業の鉱山がかなりあることもはじめて知った。地下深く採鉱することはコストを押し上げるが、今の銅価格は鉱山会社にとってはきわめて魅力的な価格であり、操業を続けたいだろうが、チリ政府は操業停止の命令を下ろすとか。このたびの救出劇は世界の耳目を集め、チリを知らない人はいなくなった。

平成22年10月1日号

第358号

 将棋の王座戦で羽生善治名人が19連覇を成し遂げた。並み居る強豪の中で、これだけでもとてつもない記録であるが、羽生さんは現在、名人・王座・棋聖の三冠であり、竜王を除く6つのタイトルで永世資格を持ち、タイトル獲得は通算78期で、大山康晴15世名人の80期にあと2期と迫っている。
 平成8年に史上初の七冠制覇を成し遂げ世間を驚かせて以来、ずっと将棋界の第一人者の地位を守って来た。まもなく竜王戦が始まるが、渡辺明竜王に勝てば、竜王でも永世称号を獲得し永世七冠となる。
 もともと、小学生名人になり、同世代のライバル森内俊之前名人らとともに幼少の頃から抜群の実力があった。プロの棋士になられたのも中学3年生のときである。江戸時代の難解な詰め将棋問題集を解くなど、継続して努力をし、才能にさらなる磨きをかけ、羽生マジックと称される驚異の終盤力を持ち、あらゆる戦法に強いオールラウンドプレイヤーになられている。
 NHK杯も8回獲得しておられるが、持ち時間が少ないテレビの棋戦で、形勢不利と解説の先生が判断されるようなときも、いつのまにか優勢にもって行かれる。
 野球界でいえば、王貞治さんのような人である。スーパースターでありながら、謙虚である。子供向けの将棋大会でも目立たずに子供たちを立って迎えておられた。
  政治や経済で、日本は今ちょっとさえない状態であるが、文化・学術・スポーツの各分野で羽生さんのようなすばらしい才能をもった人がいらっしゃることに勇気付けられる。

平成22年9月1日号

第357号

 平年なら今のころは朝夕に秋の気配を感じるのだが、今年はまだ夏の真っ盛りだ。夏物需要は盛況で結構なことだが、猛暑はもうご遠慮願いたいと思う。9月1日は防災の日であるが、今年は台風が来ない。ラニャーナの影響を受け偏西風が北へ蛇行していて太平洋高気圧が日本列島を覆い、台風の右折を妨げているらしい。お陰で稲作は豊年満作になろう。恐いのは地震である。これは予告なしに突然やってくるからどうにもできない。しかし心構えと備えで、被害を最小にすることは可能である。防災の日に家族や職場の仲間と話し合い、備えをチエックするのも大切なことである。
 丁度、1年前、民主党政権が発足し,久しく続いた自民政権に飽いた国民は、かなり期待をして見守ってきたが、6月に鳩山、小沢の小鳩政権が菅政権に変わり、今月は党首選挙で小沢と菅が競う。世論調査では支持率が極めて低いが、勝敗はわからない。海千山千の小沢狸は軍資金もたっぷり持っている上に、選対責任者として全国に亙って人脈を築いてきた実績は菅の遠く及ばぬところであるからだ。どちらが選ばれようが挙党体制のもと、政治が粛々と行われるとは思われず、当分の間、政治屋連中のドタバタ劇が国民そっちのけで展開されるのではなかろうか。
  景気対策も為替政策も財政再建もほったらかしで、政治屋は次の衆議院選挙のことで頭がいっぱい。嗚呼、竜馬のような男はいないのかなあ、、、、、、。

平成22年8月1日号

第356号

 もう結構ですと辞退したくなるほど、列島をしっかり濡らした梅雨も上がり、炎天の日が続く中、高校野球の地区大会の熱戦が続き、地区代表校が出揃い、7日からいよいよ大会の熱戦の火蓋がきられる。今年はどんなドラマが生まれるか楽しみである。夏休みに入っていろんなスポーツの大会があるから、真っ黒に日焼けした若者が大きな荷物を持って移動するところに良く出会うが、スラッと伸びた手足を見ているだけで、声をかけて励まし応援したくなる。
 お母さんたちも忙しくなる。息子や娘の子供たちが帰ってくるのは楽しみでもあるが、それも長くなるとしんどくなる。私も子供たちが毎年夏になると義母にお世話になったが、自分がその立場になって、有難味がいや増し、ずいぶんご迷惑をかけたと反省と感謝の念でいっぱいである。子供たちは宿題があって遊びほうけるわけにもいかないが、いろんな体験をして成長する夏休みにしてほしいものである。
  上場会社の4~6月期の決算公表は前年同期より大幅に好転している会社が多く、景気の緩やかな回復を映しているが、内需は厳しくまだ赤字から脱却できない企業も多い。関西ではA製作所の大型倒産があり、取引先が数多くその影響の範囲は広く、厳しい状況が続きそうである。民主党政権がぐらぐらせず、将来に期待が持てる的確な経済政策を打ち出し、内需に明るさがみえてくることを期待したい。

平成22年7月1日号

第355号

 小惑星探査機『はやぶさ』オーストラリアの砂漠で無事回収されたとの報道に感動しました。宇宙航空研究開発機構(JAXA)が2003年5月に打ち上げ、2005年夏小惑星(いとかわ)に着地し、惑星の物質を採集しているかもしれない期待と共に、2007年4月地球へ向かい、60億キロを旅して2010年6月見事戻ってきたのです。もし、中華なべほどのカプセルが(いとかわ)で採集された物質を持ち帰っていれば、宇宙誕生の謎解きに貴重な資料になると言われています。 JAXAは文部科学省管轄の独立行政法人で文字通り宇宙航空の開発研究に携わり巨額の予算がつけられており、見直しの対象にもあがっていますが、ロケット打ち上げから帰還回収までの7年間に多くの研究開発がなされ、多くの人材、技術、知識の蓄積に世界に誇れる成果を挙げ、先端技術の研究開発にかかわっているところは大切にしてほしいと思います。
 サッカーW杯の日本チームの奮闘振りにも感動しました。格闘技のような激しいゲームですが、体力の勝る相手チームに引けをとらず、戦い抜く心技体の充実した日本代表チームの活躍に目を奪われました。フリーキックに失敗した選手を皆が労わり慰める光景に日本チームが一体になって戦ってきた選手たちの熱い思いを見ました。W杯をテレビで観戦してサッカーフアンになる人が増え、サッカー選手を夢見る少年たちは大きく夢を膨らませました。J1、J2リーグが優れた選手を育てる土壌に定着してきており、欧州や南米のチームと互角に戦える日も遠からず、これからが楽しみです。
  それに引き換え、国技と言われ愛されてきた大相撲はなんたることでしょう。野球賭博で親方や大関までが手を染め、目前の名古屋場所は開催と決まりましたが、寂しい本場所になりそうです。暴力団とかかわるだけに、かねてからチラホラ噂された八百長相撲の話もあるいはと思うようになります。昔から地方巡業には地元の興行師の協力を請う繋がりもあり、その筋と接触することはありうることと思われますが、多くの相撲フアンからそっぽをむかれぬようしっかり対処してほしいと願わずにはおれません。
  参議院選挙運動の最中ですが、昨年の衆議院選挙のような盛り上がりが見えません。なぜなんでしょう。政治に期待をかけてもしようがないと思っている人が多いことの裏返しでしょうか。野党が与党になってひっくり返ったけど、どっちもどっちだってことですかね。

平成22年6月1日号

第354号

  参議院選挙を前にして、政局が騒がしくなってきた。長期の自民党政権に厭きた国民が期待をこめて託した民主党政権であるが、リーダーシップをとるべき総理が心もとなく、末期的混迷を呈している。普天間問題、郵政改変、消費税を含む税制改革など重要な政策に十分なすり合わせもなく数合わせの与党連合であるが故に、社民党の離脱を招き大騒ぎ、選挙に弱い議員は選挙で戦えないから総理に辞めろと迫っている。7月11日の参議院選挙で民主党は 座席を減らし、政権の帰趨が定まるまで数合わせゲームが展開されることになるのだろう。情けないことだが、私たちは今しばらく政局のドタバタ劇にお付き合いしなければならない。
 畜産業界について知識がなく門外漢だが、宮崎県で発生した口蹄疫の災害は、防疫対策の初期発動の遅れもあって、その損害は広く多大で、多くの畜農家の積年の努力が水泡に帰すまことに気の毒な状況に心が痛む。鳥インフルエンザで大騒ぎした5年前を思い起こすが、わが国では放牧より小屋で囲い込む飼育が多いことも蔓延の速さに影響しているのかもしれない。
 セ.パ交流戦は実力に勝るパ.リーグのチームが強く、セ.リーグのチームは巨人以外負けこんでいる。セ.リーグは巨人の優勝が硬そうだが、他のチームが奮起してペナントレースを面白くしてくれないと盛り上がらない。阪神タイガースがその先頭に立って頑張ってほしいとタイガースファンは望んでいるが、巨人が負けないとなにせ面白くないのがセ.リーグなのだ。
 間もなく入梅、蒸し暑さに体調を崩されませぬようご自愛ください。

平成22年5月6日号

第353号

 4月は寒暖の動きが激しく、5月の陽気になったかと思うと2月の寒気に見舞われ、面食らうことが再三あったが、漸く落ち着いてきました。アイスランドの大噴火による大量の降灰がこれからの北半球の気象にどのような影響を及ぼすか不明な事もありますが、どうやら冬物は片付けても良さそうになってきました。
 ゴールデンウイーク、皆様はいかがお過ごしになりましたか。まずまずの好天に恵まれ、ゆっくりされた方、家族サービスに日頃の穴埋めと頑張られた方、ゴルフや旅行を楽しんだ方など様々な過ごし方をされたことでしょう。青葉若葉の好季節に纏まった休暇がとれることは実にありがたいことだと思います。
 鳩山政権がスタートして8ヶ月を経ました。選挙公約の実現に向かって様々政策の見直しが進められていますが、右往左往して中々進んでいない感がいたします。社民、国民新党を与党に取り込んで衆参両院の安定多数を図った弊害も目に付きます。与党執行部と政府間にも小沢問題が口に刺さった小骨のように取れにくい邪魔なもののように横たわっているのが見えてきます。一方、野党になった自民党も脱退するものが増えてきてやせ細り、2大政党による政策の切磋琢磨が期待できにくくなってきています。6月24日公示、7月11日投票の参議院選挙が予定に上がっていますが、両党共に多数を獲得できず、政治の混迷が続くことになりそうです。混迷が続く限り、一時しのぎのことしかできず、流されるまま行き着くとこまでいくことになり、将来の展望が開けてきません。国の財政がギリシャのように破綻する可能性が高まってくることも大いに考えられます。そのような事態に陥ることは避けたいと誰もが願うことですが、そのような流れに逆らうには、強いさお裁きが出来る船頭が必要、すなわち政権が必要です。しかし、我々がそのような期待を寄せられる政府の誕生は今しばらく見込めないものと覚悟をせざるを得ません。此れは我々国民にとっては誠に不幸なことで、黙過や諦観できることではありません。
 話は変わりますが、最近NHKでブータン王国に関する報道番組を見られたことはありませんか。インドと中国にはさまれたネパールの東隣にあり、九州と同じくらいの広さの小さな国です。オリンピックの入場式に男性が日本の着物姿に良く似たユニフオームで行進したのを見た記憶があると思います。この国は第4代の国王が立憲共和國に改革し、開発の指針としてGNH(国民総幸福量)を掲げ、富や所得の向上を目指す物差しGNPではないのが、ユニークで注目されています。ブータンへ行けば私たちの祖先に逢い、昔の我々の生活を知るような懐かしさを覚えるそうです。政治、軍事、経済などインドとの関係が深い国ですが、日本とはきわめて友好的な国で、行った人の話を聴くと顔も日本人と変わらず同じ血の流れを感じるようです。
GNH(gross national happiness)という言葉を知ってGNPの2倍に借金が増えた日本で流行りそうな気がします。

平成22年4月1日号

第352号

 希望に満ちて新年度を迎えた人にはおめでとう頑張れよと声をかけ、残念ながら思うようにいかなかった人には、先は長いから気を落とさずあせらないでねと励ましてあげたい。働きたいが働けない人の数は戦後最高の水準に達し、実質の失業率は10パーセントを超えているのではなかろうか。景気が良くならないことにはどうにもならないことであるが、それが期待できないから、やりきれない思いがつのって来る。
 自民党政権が崩壊し、民主党が政権をとったとき、国民の多数が新しい日本丸の進水を歓迎したが、小鳩内閣と揶揄される頼りなげな船長のもと、行き先も見えず漂流をしているだけとも言える。財政改善もばらまきの財源不足で国債に依存せざるを得ず棚上げ、発行残高は1年の国民総所得の約2倍、なんと世界一の不健全財政国家になっている。最近、3,4年内に日本の国債が暴落し、円安、ハイパーインフレにより、国民の虎の子は国債と共に紙切れになってしまいかねないと警告する主張を新聞や雑誌で拝見するが、一日も早く消費税の引き上げを筆頭に税制改正を実行し、無駄を省き、収支のバランスを図る政策を実行しないと、上記の流説が現実のこととなる可能性は非常に高い。年金生活者1カ月分の年金が3~4日ですっとんでしまうようなことが現実に起こるかもしれないのである。
 ここへきて、鉄鋼や非鉄金属、石油製品などの資源高が目立つが、中国の金融引き締め懸念や南欧諸国の財政不安がやや薄れ、株式や商品に買い安心感が広がってきてファンドマネーが動いているものと思われる。この傾向が続くか否か判断しかねるが、低金利の資金調達で先物を押さえることはインフレ対策として有効であるから、リーマンショックのようなことが起こらない限り、高価格水準が続くかもしれない。

平成22年3月1日号

第351号

 一月二月が一気に逃げ去り,はや、三月弥生の月に入った。昨年の今頃は金融恐慌に見舞われ、世界中が不安のどん底にあったが、昨今はすこしづつ落ち着きを取り戻し、懸念されていた2番底も回避される観測が増えてきている。しかし、リーマンショック前の景況感には程遠く、まだまだ厳しい局面が続くことは間違いないであろう。
 労働市場は回復どころかますます悪化しており、失業率もじり高、新卒者の就職決定率も低迷している。
 今春学窓を巣立つ若者には実に重苦しい春である。企業の設備投資はエコ関連の一部を除いて低迷しており、操業度の低い設備を棄却するところが増えてきている。縮み続ける市場に合わせ、生き残るための選択だ。小売市場では構造的な変革が進行しており、デパートやスーパーの売り上げが落ち込み、代わってインターネット通信販売が伸びている。生産者と消費者を直結できるネット販売は、これからも成長が見込め、市場構造はまだまだ変化していくと考えられる。建築業界もシュリンクする一方、構造的変化がおきている。戸建て住宅やマンションの売れ行きが落ちる中で、中古の売買が増え、リ二ューアルするのが増えてきているようである。ハウスメーカーをはじめ建築業者は、これからこの分野に注力していかざるを得ない。
この傾向は建築資材の需要減少をもたらし、価格競争の激化につながる厳しい展開が予想される。生き残るため乗り越えねばならぬ道は、ますます険しく厳しいものになるだろう。
 奈良東大寺のお水取りがすめば、いよいよ春本番になる。花便りも梅から桜にかわり、選抜高校野球、プロ野球オープン戦と球音も高まる。浮世の憂さを晴らすネタには不自由しない。筋肉を伸ばし、ストレスを溜め込まず、心身とも柔らかくして、弾む春を過ごしましょう。

平成22年2月1日号

第350号

  百花の魁、梅がほころび始め、確かな足取りで春が近づいてきています。とはいえ、余寒に震える日もあって、まさしく早春譜の詩のような今日この頃です。昨年騒がれた新型インフルエンザも下火になっているようで、大量に輸入されたワクチンが無駄になる運命にあるのは皮肉なことですが喜ぶべきことでしょう。
 カリブ海の島ハイチの大地震は瞬時に10万余の命を奪い、自力では立ち直れない壊滅的な打撃をもたらしたが、近辺の国だけでなく遠い国も復旧に手を差し伸べ助け合わねば、この貧困国は沈んでしまうだろう。15年前の阪神大震災を経験してから、不時の対策に必要なものを揃え、水も大きなポリタンクに入れておくなどしていたが、時を経て記憶が遠くなると、其の存在も忘れてしまっていたことに、あらためて気づかされた。地震多発地帯に住む我々は、常から地震に備え臨む心構えが必須であるにも拘らず、悪案じを避けてしまい、つい疎かになってしまう。
 国土交通省発表によると、2009年の新設住宅着工戸数は78万戸と45年ぶりの低水準になった。今の状況から推測すると、この減少傾向はまだ続くと考えられ、建築関係を取り巻く厳しい局面の好転は望めない。ただ、既存の住宅を活用した中古住宅やリフォームの市場は結構活況を見せていると聞くので、耐震対策が進むような政策の後押しがあれば、需要不振にあえぐ建築業界にとっても、明るい材料になるのだが、今のところそのような動きは見えてこない。

平成22年1月5日号

第349号

 新年明けましておめでとうございます。旧年中は格別のご愛顧を賜り誠に有難うございました。本年も倍旧のお引き立てを賜りますよう謹んでお願い申し上げます。
 干支では今年は庚寅(かのえ、とら)、中国の古典によると、庚は更に通じ、更新、変更の意。寅は陽気動かんとして陰猶強しという。この二つの文字の意味からすると、本年は平穏とは言いがたく、政治、経済、社会様々な面で変化が錯綜する年と考えられるが、果たしてどんな1年になるのだろうか。
 アメリカ一極集中は終わりを告げ、ドルの信用も揺らぎはじめ、変化が錯綜する要因にはこと欠かない。この度の金融危機はグローバルな法律やルールを持たないままグローバルな市場を持ったことによるものであるといわれているが、大きなダメージをうけた市場が秩序を取り戻すことは容易ではない。今のままで行くと日米欧は衰退の道を辿っていくから、新しい成長のエンジンを見つけ出し、それに向かってヒト、モノ、カネをつぎ込み、経済を活性化させることが肝要であろう。日本の場合は、太陽光、太陽熱産業への経営資源の集中化、観光資源の充実,少子化対策、教育の充実などが成長を期す上のエンジンにするのだろうか。日本が明治維新後、急速に西欧の文明を吸収し、発展を遂げた素因は、江戸時代からの平和な中で教育が行き届いていたことにあり、人間力が国全体のレベルで高かったからである。近年、中国や韓国のそれに比べやや見劣りすることは否めず、少子化対策と教育の充実はわが国を衰退から守るためには絶対欠かせないことであり、エネルギッシュに取り組んでいくべきことでなかろうか。
 さて、今私たちが関わるマーケットはシュリンクする一方で、今年も厳しい状況が続きます。焦らず、地道に、無理をせず、こつこつと歩み重ねて参りましょう。笑顔で元気を出して歩みましょう。最後に、皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げ、新年のご挨拶に代えさせていただきます。